わかばだより No.48
2004年4月
今回は、寝たきりの原因の1つとなり、約1000万人と推定されている骨粗鬆症(こつそしょうしょう)についてお話します。
この病気は、生活上の注意で予防できます。そこで、治療薬の使いとともに、お伝えします。
骨粗鬆症とは、長年の生活習慣や加齢などにより骨からカルシウムが溶け出してしまうために、骨の大きさは変わらないのに骨量・骨密度が減ってしまう状態、つまり、骨の中がスカスカになって大変もろくなってしまい、骨折しやすくなる病気です。
そのため、寝たきりになりやすく、問題となります。
骨も体の細胞と同じで絶えず新陳代謝をして、古い骨が壊れ、新しい骨に作り変えています(骨代謝)。
しかし、骨の元になるカルシウムが不足したり、体が老化し、骨を作るためのホルモンが不足してくると、骨を作る量より壊れる量が多くなり骨がスカスカになるのです。
骨量の変化表から分かるように、私たちの骨量は18才くらいをピークに年をとる毎に減少してきます。そこで、体がつくられる成長期には、無理なダイエットはせず、まずは骨を丈夫にすることが大切です。
特に女性は、女性ホルモン(エストロゲン)が骨を壊すのを抑制したり、作るのを促進するため、閉経後に急激に骨量(骨のミネラル、カルシウム)が減り、50才以上の女性では、約650〜850万人が骨粗鬆症と推定されています。
現在、自覚症状はなくても検診で骨密度を測り、治療が開始される事もあるようです。
種類 | 薬剤名 | 特徴 |
---|---|---|
カルシウム製剤 | アスパラCA リン酸水素カルシウム |
食事から十分なCa摂取困難な場合に用いられます。市販のCa剤と併用による過剰服用で高Ca血症・結石症(食欲不振・吐き気・脱力感・背腹部痛・尿があかくなるなど)に注意。 Ca剤単剤では治療に限界があり、他剤と併用されることが多い。 |
ビタミンD3製剤 | ディーアルファー (わかば薬局にあるもの) |
Caの小腸からの吸収や腎尿細管からの再吸収を助けます。 市販のCa剤の過剰摂取による高Ca血症・結石症に注意。 |
ビスフォスフォネート製剤 | (共通) | 骨からCaが溶け出すのを防ぎます。十分量の水で服用し、服薬の際には注意が必要です。 |
ベネット | 朝起きたらすぐに服用、横にならず 30分は食べ物、他薬の摂取は避ける。 | |
ダイドロネル | 食間に服用し、前後2時間は食べ物・他薬の摂取は避ける。2週間服用し、3ヶ間休薬するサイクルを繰り返す。 | |
女性ホルモン製剤 | エストリール | 女性ホルモンを補うことにより骨がもろくなるのを防ぎます。定期的に婦人科の検診を受けることをおすすめします。 |
ビタミンK製剤 | グラケー | 骨代謝を改善します。空腹時は吸収低下するので必ず食後に服用します。ワーファリンを服用している人は併用できません。 |
イソフラボン製剤 | オステン | 女性ホルモン様の作用をします。 カルシトニン製剤 エルシトニン注射 週に1〜2回、疼痛に対し、鎮痛効果を期待して使われます。 |
カルシウムの1日摂取量は男女600mg(妊婦900mg、授乳婦1100mg、成長期男900mg、成長期女700mg)です。カルシウムは体に貯めておくことが出来ないミネラルで、たくさん摂っても尿や便で排泄されてしまうので毎日必要量を摂る工夫が大切となります。
カルシウムの食事からの吸収率は牛乳・乳製品で約50%、小魚で約30%、海藻・緑黄色野菜で約20%と吸収されにくく、意識して摂るとともに吸収率のよい食品の組み合わせを考える必要があります。
乳製品は吸収率が良い食品なので毎日牛乳やヨーグルトを200〜300ccは摂るようにしましょう。牛乳を飲むと下痢をする乳糖不耐症の人は乳糖が分解されているヨーグルトやチーズが良いでしょう。
骨付き小魚(ちりめんじゃこは塩分の摂りすぎに注意)・桜海老・大豆・豆腐・納豆・小松菜・切干大根・ひじきなどにもカルシウムが多く含まれるので毎日工夫して摂るように心がけましょう。
ビタミンDは肝臓や腎臓で活性型ホルモンに変化し、カルシウムの腸管からの吸収や骨への沈着を20倍にも高める役割があります。
多く含む食品はレバー・魚類(いわし・かつお・さんま・さば・ぶり・うなぎ)卵黄・バター・チーズ・牛乳・きのこ類・乾燥椎茸(日光によるもの)などがあります。いわしやめざしなどを丸ごと食べるとカルシウムも一緒に摂ることができます。
ビタミンKは骨の結晶構造を安定にし、骨を作ったり骨からカルシウムが出ていくのを防いだりする役割をします。
ビタミンKを多く含む食品には納豆・のり・青菜などがあります。(ワーファリンという薬を服用の方は納豆の摂取を控えてください)
食品添加物や加工食品・清涼飲料・スナック菓子などに含まれるリンは多く摂りすぎるとカルシウムと一緒に体外へ排出される性質があります。他には塩分・アルコール・コーヒーの摂りすぎはカルシウムの吸収を悪くします。
また、ほうれん草などに含まれるシュウ酸・豆や穀類に含まれるフィチン酸・食物繊維の摂りすぎもカルシウムの吸収を妨げるので過剰に摂り過ぎるのは避けましょう。
喫煙は女性ホルモン(エストロゲン)の低下や骨芽細胞(骨を修復する細胞)の働きを低下させるので控えましょう。
カルシウムの吸収を促すビタミンDは日光を浴びると皮膚でも合成されます。運動をして骨に負荷をかけることによって丈夫になり、さらに筋力をアップすることで転倒をふせぐことができます。(人によっては運動を控えたほうがいい場合もあるので医師と相談しましょう)