わかばだより No.46
2003年11月
高血圧症は、それ自体では自覚症状が少ないのですが、放置しておくと心臓や脳に重大な病気を引き起こしやすい状態です。また日本人では、約3000万人以上が高血圧症であるといわれ、最もポピュラーな生活習慣病です。よって、日ごろからの血圧管理は、とても大切です。
日本高血圧学会によると、収縮期血圧140・拡張期血圧90のどちらかでも上回ったときに高血圧と診断されます。まずは130/85未満を目標にしましょう。
分類 | 収縮期血圧(mmHg) | 拡張期血圧(mmHg) | |
---|---|---|---|
正常血圧 | 130未満 | かつ | 85未満 |
正常高値血圧 | 130〜139 | または | 85〜89 |
高血圧 | 140以上 | または | 90以上 |
しかし、高血圧以外に糖尿病や心臓病にかかっている人などは、高血圧のみの方よりも合併症が起こりやすいので、通常よりも目標血圧を低めに設定することがあります。
また、高齢者の方は血圧を下げすぎると、脳梗塞の危険が高くなるので、目標血圧を高めに設定することがあります。
そして、生活習慣の改善でも血圧の下がらない人や、重度の高血圧の人は、薬物療法を開始します。
最近は家庭用血圧計の種類も増え、価格も下がっているため、家庭に血圧計があるという人も多いでしょう。医療機関で測ると緊張して高めに出ることもあるので、自宅で血圧を測って記録し、血圧管理に役立てましょう。
正しく測るための注意1日2回が基本ですが、1日1回の場合は数値が高めに出る「朝」測りましょう。
肥満を解消する | − | 心臓の負担を減らすためにも、食事や運動に気をつけましょう。 |
塩分に気をつける | − | 1日10g以内を目標に調味料や外食のしすぎに注意しましょう。 |
適度な運動をする | − | 週3回程度の有酸素運動(ウォーキングなど)がよいとされています。ただし、すでに心臓病をお持ちの人は無理は禁物です。 |
ストレスをためないようにする | − | 規則正しい生活や気分転換を心がけましょう。 |
喫煙者は禁煙を心がける | − | 喫煙には末梢血管を縮める作用があります。 |
1種類で効果不十分な場合は、2種類以上組み合わせることがあります。
もし、飲み忘れてしまった場合は、次回の服用時間までが短くなければ、思い出したときすぐに服用しましょう。2回分を同時に飲むことは絶対やめましょう。
ニフェラートL錠、ニフェラートカプセル、ニカルピン錠、バイミカード錠、
ミルファジンカプセル、セパミットR細粒、ノルバスク錠、スプレンジール錠、
ヘルベッサーRカプセル、ナックレス錠、ペルジピンLAカプセル
血管の収縮に必要なカルシウムイオンを、血管細胞内に取り込まないようにして、血管を拡げて血圧を下げます。
薬によっては、グレープフルーツ(ジュースを含む)と一緒に服用すると血圧が下がりすぎることがあります。
また、骨粗しょう症などでカルシウム剤を服用しても、この薬の効果が弱まることはありませんので、心配しないでください。
顔のほてり、歯茎のはれ、尿が近くなる、頭痛 など
アポプリール錠、レニベーゼ錠、タナトリル錠
血管を収縮させ血圧を上げる、アンジオテンシンというホルモンが腎臓でつくられるのを抑えて血圧を下げます。
妊婦の人は服用できないことがあります。
空咳、顔やのどのはれ、味覚異常 など
ニューロタン錠
アンジオテンシンが血管に作用するのを抑えて血圧を下げます。(2)のアンジオテンシン変換酵素阻害薬で空咳の副作用が出る人に処方されることが多いです。
妊婦の人は服用できないことがあります。
激しい苦味があるので錠剤はかまないでください。
顔やのどのはれ、味覚異常 など
インデラル錠、アルマイラー錠、ピンドロールN錠、ロプレソール錠、
アーチスト錠、ミニプレス錠、カルデナリン錠
心臓や血管に働くホルモン(カテコールアミン)の作用を抑えて血圧を下げます。
一部の薬は、気管支喘息や心不全の人には服用できないことがあります。
その他一部の薬は、前立腺肥大による排尿障害に処方されることがあります。
脈が遅くなる、手足が冷たい、立ちくらみ など
フルイトラン錠、ラシックス錠、アルダクトンA錠
体内の過剰なナトリウム(食塩に含まれる)と水分を、腎臓から尿として排泄することにより、血圧を下げます。
夜間の排尿を避けるため、午前中に服用しましょう。お酒を飲むと立ちくらみが強くなることがあります。
また、フルイトラン錠・ラシックス錠は、カリウムが不足することがあるので、カリウムの多い食品(かんきつ類・野菜など)の摂取を心がけましょう。
乳房の腫れ(アルダクトンA)、頻尿 など
アルドメット錠、カタプレス錠
脳を刺激して、末梢血管を拡張して血圧を下げる薬です。
アルドメットは透析で除去されやすいため、透析患者の人に使われることがあります。
口の渇き、だるさ、立ちくらみ など
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