たくみだより たくみ外苑薬局

2002. 盛夏号 たくみ外苑薬局

★ 今回は、ヘリコバクター・ピロリ除菌についてです★

 ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)は、再発を繰り返す胃潰瘍の原因のひとつです。一昨年(2000年)から、ピロリ菌に感染して胃潰瘍や十二指腸潰瘍を患っている人には、除菌療法が保険適用になりました。今回は、除菌療法とはどういうものなのか、除菌の際に気をつけることを紹介します。

☆ピロリ菌とは?

 ピロリ菌は、胃の粘膜に住み着き、自分で作り出す酵素で胃の中にある尿素を二酸化炭素とアンモニアに分解(ウレアーゼ活性)することで胃酸を中和し、胃酸から身を守っています。ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に炎症を起こし、感染した人のうち2〜3%の人が胃潰瘍を発症してしまいます。

☆除菌療法とはどんなことをするの?

 まず、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の人に対して検査を行ない,ピロリ菌に感染しているかどうかを調べます。

 これらのうちいずれかを用いて行なわれますが、複数の検査を行なえばより確かに判定できます。詳しくは主治医にご相談下さい。

 感染していることがわかったら、「胃酸分泌抑制薬」と2種類の「抗生物質」の3剤を1日2回7日間、服用します。

タケプロン 30mg 1回1錠
 またはオメプラ―ル 20mg 1回1錠 (胃酸分泌抑制薬)
パセトシン 250mg 1回3錠 (抗生物質)
クラリス 200mg 1回1錠または2錠 (抗生物質)

 除菌治療薬をすべて服用した後、4週間以上経過してから、ピロリ菌を除菌できたか、もう一度検査を行ないます。(検査法ははじめのものと同じです)

☆ 除菌療法の副作用って?

主な副作用として以下のものが報告されています。

 軟便、軽い下痢、味覚異常は、服薬を終了したら消失するものなので飲み続けましょう。しかし、発熱、腹痛を伴う下痢、便に血が混ざっている場合やその他、気になる症状を感じた場合は、自分の判断で服薬を中止せず主治医または薬剤師にご連絡ください。

 また、今までお薬でアレルギーを起こしたことのある方、他の薬を服用している場合は必ず主治医にお伝えください。

☆除菌療法で気をつけることは?

☆ 除菌後に気をつけることは?

☆ もしも除菌に失敗したら?

 除菌に失敗した場合は、ピロリ菌に効果がある抗生物質を調べる必要があるので、再度除菌をする場合は主治医にご相談ください。

編集後記

 ヘリコバクター・ピロリ除菌が保険適用になり、胃・十二指腸潰瘍の治療法が1つ増え、身近になってきたことと思います。除菌判定までしっかりと行ない、除菌後も胃に負担をかけないよう健康管理に気をつけましょう。

<参考文献>

きょうの健康 2002.5月号, NHK出版
ピロリ菌と胃・十二指腸潰瘍Q&A
 大正製薬株式会社・ダイナボット株式会社
 武田薬品工業株式会社