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わかばだより No.40
冬を乗り越えよう! 臨時号

2002年2月14日 わかば薬局発行

インフルエンザのときに使う薬の注意点

インフルエンザかな?!

*熱が高くなってしまった!解熱剤の上手な使い方は?

 急激に39度を越えるような高熱(個人差はあります)がでて、頭痛や関節・筋肉など全身が痛くなるような症状がでた場合、インフルエンザのおそれがあります。重症になりやすい高齢者や慢性疾患のある人は特に、すぐに受診をして下さい。また、肺炎などの二次感染を予防するための対応をする必要がある場合もあります。

 それに当てはまらない人も、水分・栄養・休養をとることが大切です。症状がひどい場合は、やはり受診することをおすすめします。

 熱が高くなるのは、病原体を追い出そうとする体の防御反応だといわれています。解熱剤を使って無理に熟を下げると、逆に長引かせる原因となってしまうこともあります。通常の免疫力があり、無理をしなければ自然になおります。

 お手持ちの解熱剤などをむやみに使用せず。水分をとって休息をとりましょう。寒く感じる時には体を暖め、熱く感じる時には頭・脇などを冷やします。

 ただし、40度以上の発熱や、発熱が続き体力や気力が衰えたときなどには、解熱する必要もあります。医師・薬剤師に相談してください。

 また、非常にまれではありますが、意識がなくなる・けいれんがおきるなどの症状がある場合には、緊急に受診をしてください。インフルエンザ脳炎・脳症の可能性があります。

*インフルエンザ脳炎、脳症ってなに?

 インフルエンザに感染して発症すると、体内でウイルスが増殖します。それによって血管の壁が壊されて、脳になんらかの障害をもたらすのではないか、といわれています。

 特に小児では、国内で流行年には、年間数百人が発症し、その中の約20%(100人以上)の人が亡くなっています。その亡くなっている人のなかで、解熱剤を使用した人の群は、しなかった人とアセトアミノフェンという比較的弱い解熱剤を使用した人の群に比べて、死亡する率が高かった、という調査結果が、昨年に引き続き今年も厚生省から報告されています。

 炎症を抑える薬を使うことによって、壊れた血管を修復する酵素がおさえこまれてしまう、等の原因がわかってきました。

 また、アスピリンやサリチル酸製剤という薬剤をインフルエンザ・水痘等のウイルスによる病気に使用するとライ症候群という、やはり急性脳症にかかる率が高くなるということも米国で1987年に実証されています。

*アセトアミノフェンは、薬品名でカロナール・アンヒパ坐薬等の成分です。

参考資料


朝日新聞、2002年2月13日

子供への解熱剤 要注意

一部の処方薬は症状悪化も 厚労省呼びかけ

 昨年5月以前に医師から処方された解熱剤を、インフルエンザの子どもに使用しないよう厚生労働省が呼びかけている。症状がかえって重くなり、インフルエンザ脳炎・脳症を悪化きせるおそれがあるためだ。1月末には、解熱剤の使用が症状の悪化につながったと疑われる死亡例が報告された。

 対象は「ジクロフェナクナトリウム」(商品名・ボルタレンなど)と「メフェナム酸」(同ポンタールなど)。いずれも薬局では販売されていない「処方薬」。内服薬と座薬がある。

 今年に入って、インフルエンザ脳炎・脳症で死亡したとみられる女児が、医療機関で受診する前に、自宅に残っていた解熱剤(ジクロフェナクナトリウム)を使用していたことがわかった。

 この例を受け、同省インフルエンザ脳炎・脳症の研究班は今月4日、解熱剤使用について一般家庭に注意を喚起するよう同省に要望書を振出した。「新たに処方されることはないはずだが、前に処方され、使い残した薬を使用する例が今後ないとも言い切れない」と注意を呼びかけている。

 インフルエンザの子どもが解熱剤を使用した場合、重い症状を引き撃しし、致死率も高まるとの研究班による報告を受け、同省は昨年5月、15歳以下の子どものインフルエンザの解熱剤として、これらの薬を原則使わないよう、医療機関に通知していた。解熱剤として日本小児科学会は、効果が穏やかな「アセトアミノフェン」を薦めている。

 研究班長の森島恒雄・名古屋大教授は「使用不可になった解熱剤は破棄してほしい。高熱の子どもを前に心配になる親の気持ちもわかるが、どうしても使用せねばならない場合は、処方した病院や薬局に安全性を確認してほしい」と話している。

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