くすりの話 あれこれ ~代々木病院~

No.113:健康診断を受けましょう

長野愛美 薬剤師 代々木病院

4月がスタートし、少しずつ花が咲き始め、お花見シーズンが本格的に始まりました。また新年度もスタートし新人歓迎会や交流会など、お酒の席や外食が増えてくる時期でもあります。おいしい物も増えてきて、ついつい食べ過ぎてしまう事もありますよね。そんな時、体の状態を把握するのに活用できるツールの一つとして健康診断があります。

今回注目してみたいのが、血液検査の中の「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」という項目で、血糖関連の数値になります。しかし、血液検査の項目で血糖関連には「血糖値」も存在するのに、どのような違いがあるのでしょうか。

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことで100mL中の血液に何gのブドウ糖が含まれているのかを表します。この血糖値は食事の影響を受けやすいので、検査のタイミングによっていくつかの種類があります。

基本的に健康診断で用いられる方法は空腹時血糖と呼ばれるものになり、10時間以上何も食べずに(水は飲んで良い)測るもので、もっとも血糖値が低くなるタイミングの値となります。

HbA1cは血液中の赤血球に含まれるタンパク質の一種で、体内に酸素を運ぶヘモグロビンにブドウ糖がくっついたものです。これらは一度くっつくと、赤血球の寿命である約120日間はそのままの状態で存在するため、過去1~2カ月の血糖値の平均を反映させます。そのため、健康診断が近づいてから食事に気をつけても、血糖値は基準値なのにHbA1cは高くなってしまう、という状態になることもあるのです。

このHbA1cが高い状態が続いてしまうと、経口血糖降下薬などを使っての薬物療法を行わなければならなくなり、生活が大変になってきてしまいます。

先ほども述べましたように血糖値は食事の影響を受けるため、食事に気をつける、適度に運動を行う、しっかり睡眠をとる(睡眠の質を上げる)、またストレスでも血糖値が上昇することもあるため、日頃から注意しておくことが大切になります。

健康診断を受けてお薬に頼らない生活を送れるように、すでにお薬を飲んでいる方は、少しでもお薬の数を減らせるように、体のメンテナンスに役立ててみてはいかがでしょうか。

くすりの話 あれこれ ~代々木病院~ TOPへ戻る≫

TOPへ