くすりの話 あれこれ ~代々木病院~

No.102:肌の乾燥とかゆみ

井出郁英 薬剤師 たくみ外苑薬局

肌が粉をふいてかゆくなったりしていませんか。最近はエアコンで年中室内が乾燥していて、季節に関係なく乾燥肌で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

皮膚は「天然保湿因子」、「角質細胞間脂質」、「皮脂」という3つの物質によって潤いが保たれています。

しかし、皮膚が乾燥すると角質層の水分や脂質が失われ、角質が剥がれ落ちてきます。進行するとひび割れや強いかゆみが出てきて、掻きこわすと皮膚が赤くなったりブツブツができたりします。

乾燥を引き起こす原因として、加齢や季節、疾患・治療によるものがあります。年齢とともに潤いを保つ物質を作る機能が徐々に衰えてきます。女性の方が男性より早い年代から起こってくるといわれ、特に高齢者で皮膚が乾燥しやすくなります。

また、冬は外気だけでなく、暖房によって室内も乾燥しています。皮膚病、内臓疾患、透析や利尿剤、一部の抗がん剤などの薬などによって乾燥がひきおこされることもあります。

皮膚の乾燥には保湿剤で潤いを与えることが大切です。保湿剤には、ワセリン、尿素軟膏(ケラチナミン、ウレパール)、ヘパリン類似物質(ヒルドイド)、ビタミンA軟膏(ザーネ)があります。

保湿剤は皮膚から水分が逃げないようにフタをする役目を持っているため、水分を吸収している入浴後に塗るのが効果的です。入浴後5分以内に早めに塗るようにしましょう。悪化した場合には、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン剤などの内服薬を使用します。

しかし、適切なスキンケアをしなければ薬だけでは治りません。皮膚を乾燥させないためには、湿度を40~60%に保つように加湿器を利用したり、冷暖房の使いすぎに注意し、部屋の温度は20~23℃を目安に設定しましょう。

また、肌着は木綿などの刺激の少ないものを選びましょう。フリースやヒートテックなどの化学繊維のものは直接、肌に触れないようにします。

皮脂をとりすぎないために、入浴の回数を冬は減らしたり、石鹸を部分的にとどめておくことも効果的です。

そして、できるだけ掻かないことが重要です。入浴時ナイロンタオルやスポンジは使用しない、爪は短く切っておくなどを心がけてください。

まずはご自分の肌を見て乾燥しているかどうかチェックしてみましょう。手足や腰、特にすねなどによくみられます。肌がカサカサしていると感じたら、皮膚炎がおきる前に保湿剤で毎日こまめにお手入れをしましょう。

くすりの話 あれこれ ~代々木病院~ TOPへ戻る≫

TOPへ