サプリメントに頼らない生活

No.87:膝関節のサプリメント、売り込み活発化

藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

ひざが気になる方の健康食品、グルコサミンの製品宣伝が目立ちます。大手食品メーカーが「歩く力を保つ」機能性表示食品として販売し、サプリメント売り上げさらに伸ばそうとしています。
関節痛は、クッションとなる軟骨がすり減り、骨同士が直接当たってしまうことが主な要因です。多くの広告では、グルコサミンには軟骨を再生する効果があるとうたってきました。
ひざを対象としたサプリメントは、複数の成分を配合し、関節の痛みへの効果を期待させながら、派手なTVコマーシャルで売られています。

2017年ごろから、誇大広告の可能性を指摘されないよう、グルコサミン機能性表示食品の届出撤回が進んでいました。そのなかには機能性の根拠として、競輪学校の選手41名と大学のサッカー選手21名で試験した結果をもとに「運動や歩行などによる軟骨成分の過剰な分解を抑え、関節軟骨を保護することが報告されており、運動や歩行時の関節の健康が気になる方に適して」いるという製品もありました。

今年になり、届出総数156件中110件が変更届を出すなど、攻めの姿勢が目立ちます。ただ、根拠とする論文は企業が準備したもので、新たに客観的効果を証明できるものとはいえません。

軟膏成分の成分補給だけで傷んだ関節の軟骨を補修しようという仮説には無理があります。ご注意ください。

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