サプリメントに頼らない生活

No.83:認知機能を維持できるという食品

藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

物忘れが気になる方を対象としたサプリメントは、人気が高まっています。認知機能に関係する機能性表示食品の届出は、5月2日現在488品目。イチョウ葉由来物質、不飽和脂肪酸のDHA・ERA、γアミノ酪酸(GABA)などを関与成分としたものなどが販売されています。

各製品は成分に関する研究をもとに、「認知機能の一部である記憶(知覚・認識した物事の想起)の精度を高める」、「健康な高年齢者において、認知機能の一部である注意機能(重要な物事に素早く気付けることや、複数の物事に注意を払えること)の維持に役立ち、また、前向きな気分(頭がさえわたること、生き生きすること、積極的な気分でいること、活気がわいてくることなど)を維持する」などと表示することが認められています。

ところが、“健康な高年齢者”で機能を“維持”という範囲を超え、認知能力の“改善”や認知症予防まで連想させる広告が目立つようになり、販売されていた製品の6割が、消費者庁から3月に改善指導を受けました。

広告の中には、実際の研究結果を示さず、単なる推測を大きく表示したものもあります。たとえば「認知機能の維持をサポートする抗酸化作用や血小板抑制作用、血管拡張作用、脳血流改善作用があると考えられています」というのは、仮説に過ぎません。

認知症を予防するために買うのはもったいないですね。

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