サプリメントに頼らない生活

No.74:睡眠をサポートするサプリメント

藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

日が沈んでも蒸し暑い、コロナの感染拡大が気になって寝付けない、そんな眠れない夜に困っている方は多いと思います。テレビをつけると睡眠の質を改善するというサプリメントの宣伝をよく見かけます。今年発売になった機能性表示食品の1割は、睡眠サポート・精神的ストレス緩和を売りにする製品です。

成分でいうとアミノ酸の「グリシン」、緑茶のうま味成分「テアニン」、中国北西部の茶「ラフマ」などがよく売られています。 睡眠時間は確保しても、疲れが取れないことが現代人の悩みです。依存症が心配で眠剤を我慢している方も大勢います。天然成分で安全という宣伝は魅力的ですが、大きな問題が起きたことがあります。

1989年米国で、激しい筋肉痛をともなう自己免疫性疾患を引き起こしたのは、不眠に対する「トリプトファン」サプリメントでした。1年間に6千人が被害を受け、38人が死亡する事件は、不純物が疑われたのですが、過剰摂取と、利用者の体質が大きく関係していました。
天然物であっても、濃縮した製品の利用経験が短く、利用者によって過剰摂取されやすい睡眠補助サプリには、これからも注意が必要と思います。

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