サプリメントに頼らない生活

No.30:脂肪吸収効果が説明できないデキストリン

藤竿 伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

デキストリンを飲んだ者(実験群)と飲まなかった者(比較対照群)を比べた研究ですが、グラフでわかるように食べた脂肪の大部分は吸収されています。吸収された脂肪は、実験群で97.4%、比較対照群で98.6%、その差は1.2とわずかです。

難消化性デキストリンの脂肪吸収抑制効果

統計処理で差が出ているため論文となっていますが、30~40歳台で平均体重56㎏の男女5名ずつを2群に分け、1日55gの脂肪を含む食事を10日間食べる設定は、有効性の実証として規模が小さすぎます。
さらに、2015年の調査で、中年の男性は63g、女性は53gの脂肪を食事から取っています。この実験では、それ以下に制限した脂肪摂取量であり、高脂肪食を食べたときにも、1回5gのデキストリン服用で吸収を抑えることが出来るかはわかりません。

デキストリンが脂肪吸収を抑制するというのは、まだ仮説段階と思っています。
お腹の調子を整える商品ですが、副作用として下痢を起こす方がいます。トウモロコシデンプン由来のデキストリンに、腸内細菌が対応できないことが原因となります。
普段食べ続ける食品により、腸内細菌のバランスがつくられます。変わった成分を摂取する場合は、副作用に注意が必要です。
腸内細菌の餌として有用な食物繊維が各種宣伝されていますが、どの製品が善玉菌を増やすのかは、現時点で比較困難です。特定の製品に期待しすぎない方が良いでしょう。

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