サプリメントに頼らない生活

No.27:最高裁、クロレラ「研究会商法」を裁く

藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

1月24日、最高裁判所は、クロレラチラシ事件に対し画期的な判決を下しました。2015年4月の記事でお知らせした、京都市の消費者団体が「サン・クロレラ販売」に広告の差し止めなどを求めた訴訟の上告審です。問題の広告チラシはすでに配布されていないため、配布中止を求める請求自体は棄却されました。しかし、このように食品を医薬品と誤認させる広告は、消費者契約法の「勧誘」に該当し、差し止め請求や契約解除も可能になるという判断をしました。大阪高裁や消費者庁の判断を越え、消費者保護の道を開いたものです。

問題となったのは、肺気腫や糖尿病など病気の改善に効果があったという体験談を記載した新聞折り込みチラシを、「日本クロレラ療法研究会」が配布し、連絡してきた人へ「サン・クロレラ販売」のカタログと注文書を送って購入させるシステムです。医薬品医療機器法(旧・薬事法)では特定商品名が入っていないと広告と見なされないという抜け道を、30年以上にわたって悪用していました。

販売業者から形式的に独立した研究会が健康情報を提供し、特定商品の購入へ消費者を誘導する広告は、チラシだけでなくネット上にあふれています。
研究会が実質的に販売業者の支配下にあることを調査し、消費者団体が1件ずつ差し止め請求をすることは大変です。
最高裁判決を受けて、医薬品医療機器法、景品表示法、消費者契約法を早急に改正し、違反の内容を明示してニセ薬を取り締まり、罰金・科料をもって抑止する必要があります。

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