サプリメントに頼らない生活

No.20:機能性表示食品制度1年目の問題

藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

機能性表示食品制度は2015年4月にスタートし、3月22日までに281件の届出を消費者庁が受理しました。そのうち3件は、資料の不備が指摘され届け出が撤回されました。
しかし、トクホでは安全性の問題で許可されず、消費者団体が届出の撤回を求めたリコムのエノキタケ抽出物「蹴脂粒」は、11月に発売されました。消費者庁は追加資料を求めるのでなく、「サプリメントとしても10年以上にわたり国内外で利用され、2003年の発売以降、健康に対する影響は報告されていません」という企業の主張を認めてしまいました。
届け出のガイドラインでは、トクホに準じた臨床試験か、審査のある専門誌で発表された複数の論文にもとづく評価による「機能性」の実証を求めていますが、毎日新聞の記事によると「事業者が独自にヒトの臨床試験を行った製品は1割程度で、残りは各種文献の評価に基づく表示」となっています。

臨床試験の対象者が摂食群、プラセボ群それぞれが十数人といった小規模試験は、偶然に差がつくことも多く信頼性が低いものです。このような試験を積み重ねても有効性の評価にはつながりません。
機能性表示食品は開発費用が数百万円ですみ、効能表示の自由度も高いため、販売金額はすでにトクホの10分の1になろうとしています。
消費者庁は、実際より高い効果が期待できると思わせるような広告を「景品表示法」で取り締まっていますが、「医薬品医療機器法」で有効性・安全性の観点から偽薬を取り締まることが求められます。

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