サプリメントに頼らない生活

No.09:治療以外で使うとムダな魚油

藤竿伊知郎(外苑企画商事、薬剤師)

魚油の成分で「n-3系不飽和脂肪酸」のDHAとEPAは、「動脈硬化、高脂血症、認知症等の予防や改善」「アトピー、アレルギー」への効果を期待して服用されます。「中性脂肪が気になる方の食品」としてトクホ指定を受けた商品もあります。

1960年代、グリーンランドで生肉を食べる人々には心疾患が少ないという疫学研究から、EPAで動脈硬化を予防する研究が始まりました。日本では1990年にEPA製剤が「閉塞性動脈硬化症」の薬として承認され、高脂血症への適応も追加されました。
しかし、EPA製剤で心筋梗塞など心臓死を予防をめざした市販後大規模臨床試験では、発症率を下げる傾向が出ましたが、他の治療法と比べて有意の差は認められていません。

EPAを多く含む食品は、さば、いわしなどの青魚。DHAは青魚とともに、まぐろなど油の多い魚に多く含まれています。日本人のn-3系不飽和脂肪酸は1日摂取量は1.8g(2012年国民健康・栄養調査)です。一方、作用が競合するリノール酸などのn-6系不飽和脂肪酸は8.6g。
生活習慣病予防には、油脂の摂取を控え、特にn-6系をn-3系の4倍以内にすることが推奨されています。必要なことはn-3系を今以上にとるのではなく、マーガリンのようなn-6系を減らすことです。
米国FDAの限定的健康表示規格においては、サプリメントからの摂取はDHAとEPAを合わせて1日2gを超えないようにとされています。
サプリメントをとるのではなく、魚を食べる回数を増やすことをおすすめします。

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