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国との基本合意2周年記念集会

2010年1月31日  全電通ホール

プログラム

1.開会の挨拶
薬害肝炎全国原告団代表    山口美智子
2. 個別救済に関する報告「現時点における到達点」
薬害肝炎九州弁護団・個別救済担当弁護士    浦田秀徳
3. 検証再発防止に関する報告「検証会議の到達点と今後の課題
薬害肝炎東京弁護団・検証再発防止担当弁護士    鮎京眞知子
検証委員会委員(薬害肝炎全国原告団)    泉祐子
検証委員会委員(薬害肝炎全国原告団)    坂田和江
4. 講演会『薬害の歴史と今後に向けて〜薬害被害者の役割〜』
全国薬害被害者団体連絡協読会代表世話人    花井十伍氏

国との基本合意2周年記念集会

5. 薬害肝炎原告団作成ビデオ「もう待てない!」上映
6. 恒久対策に関する報告「恒久対策の到達点と今後の課題」
薬害肝炎東京弁護団・恒久対策担当弁護士    石井麦生
7. 講演会『肝炎治療における地域医療体制のあり方とこれから
山梨大学医学部附属病院第一内科教授    榎本信幸医師
  Y-PERSネットワーク
8. 閉会の挨拶
薬害肝炎全国弁護団代表    鈴木利廣


薬害肝炎訴訟における個別救済

薬害肝炎九州弁護団・個別救済担当弁護士 浦田秀徳

第1 「個別救済」とは?「全面解決」、「全員救済」とは?

1 「個別救済」とは?

 通常の裁判(個別事件)では個別救済だけ。ことさら「個別救済」とはいわない。
 個別救済は、「全面解決」、「全員救済」が前提。
 「全面解決」とは、薬害肝炎の解決を含む、350万人のウイルス性B・C型肝炎患者全体の解決。肝炎に対する国の政策の大転換。恒久対策の約束。
 「全員救済」とは、薬害による肝炎患者と認められた者すべてが救済されること。投与製剤・時期、既提訴か否かを問わない。

2 なぜ、「全面解決」・「全員救済」なのか?

 「全面解決」・「全員救済」を伴わないと、集団被害事件であっても、低いレベルでの・個別救済だけに終わってしまう。

第2 「全面解決」・「全員救済」を実現するためには?

1 厚生行政由来(医原性)の未曾有の巨大被害

 被害者350万人(推計) 「第2の国民病」 多すぎて解決できない。

2 官による、上からの・遅く・ぬるい施策

 92年 C型肝炎に対するインターフェロン治療の保険適応。しかし、
 00年 肝炎対策に関する有識者会議
 01年 C型肝炎等緊急総合対策

3 なぜか?

 国の@「責任なき」、A「国民の要求・支持なき」施策だから。

4 肝炎政策を「チェンジ」するには、どうすればいいか?

 @国の責任の明確化
 A「原告の運動」と「国民世論の支持」

第3 薬害肝炎訴訟とは? 全員救済の枠組み・全面解決の土台づくり

1 全面解決・全員救済のために

 @全国原告団・弁護団の一体化と連携
 A原告団の拡大(掘起し)と強力な運動

2 「全面解決」要求

 要求の一本化 350万人全員救済を掲げる
 日肝協、薬害再発防止を国民との連帯

3 「全員救済」要求

 大阪高裁における和解解決局面
 製剤の種類・投与時期、既・未提訴による「線引き」(分断)

4 福田総裁指示による「立法的解決」

 @ 救済法と基本合意による全員救済の枠組み
 A 総理所見、附帯決議、基本合意による全面解決(恒久対策)の約束

第4 個別救済

1 個別救済の目的

 @ ひとりでも多くの被害者に、救済法の光を
 A なかまを増やす(数の力、なかまのあたたかさ)

2 加害者である厚生労働省に被害実態調査をさせる

 @参議院附帯決議 A「基本合意」に基づく大臣協議

3 カルテによる投与の確認

製剤 2009.12.5 2006.12.5
フイブリノゲン製剤 13,188 8,896
第8、9因子製剤数 1,253
14,441人

4 投与の告知

製剤 2009.12.5 2006.12.5
フイブリノゲン製剤 7,447(56%) 3,632人(41%)
第8、9因子製剤数 326人(26%)
7,773人

5 感染率(厚労研究班)

 フイブリノゲン製剤 11.4%
 第8、9因子製剤   9.9%

6 提訴・和解ができた被害者数

 @ 救済法制定・基本合意時の原告数  計 200人
 A 2010年1月15日現在の提訴原告数・和解原告数
地裁 提訴原告数 和解原告数
仙台 113 83
東京 513 381
名古屋 159 135
大阪 557 409
九州 317 271
1,659 1,279(77%)

7 1,659人の原告団!

 内訳
  フィブリノゲン  1,514人
  第9因子製剤    169人(重複投与24)

8 糊(因果関係)、カルテなきケースは逐次解決中

 糊ケース     152/240人
 カルテなきケース 48/175人

第5 残された課題・今後の課題

1「救済法の残りが3年ゆえ できるだけ頑張る」

 @ さらなる被害掘起し・救済の推進
 A 大量輸血ケースの解決 30人全員が未和解
 B 非特定製剤の特定製剤化

2 「1,000人の原告団」として、団結維持と中長期的運動の継続

 全国でひとつの原告団 画期的!
 歴史的には分裂の歴史→意識的・継続的な努力が必要(寛容と親睦)

3 日肝協、B型肝炎訴訟原告団の運動とのより一層の協働・一本化

検証会議の到達点と今後の課題

薬害肝炎東京弁護団・検証再発防止担当弁護士 鮎京眞知子

第1 薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政あり方検討委員会の経過

1 研究班の検証作業 (薬害肝炎の経過から抽出される問題点)

 1年目は文献検討、2年目はヒアリング・アンケート(行政・企業担当者)
 医療関係者の意識調査 被害者実態調査

2 薬害再発防止のための医薬品行政の見直し検討

(1) 20年度の議論と第一次提言
(2) 21年度の議論と第二次提言(本年3月未予定)
 ・医薬品行政のあり方・・PMDAと厚労省職員へのアンケート調査
 ★医薬品行政を監視・評価する第三者組織の具体的提案(WG)

第2 原弁の今後の課題=検証委員会提言を実現させること

(1) 22年3月まで・・・大臣を検証委員会に出席させて提言尊重を明言させる

(2) 22年度の原告弁護団の活動
 獲得目標:I 第三者監視組織設置の目処をつける(法改正・根拠法、概算要求)
      U 提言取り組み状況を監視 *薬害資料館

 @ 他の薬害防止団体(薬被連、薬害弁連等)と連携した活動
  ・厚労省申入、国会ロビー 国民の賛同−メディア、シンポ等、薬害根絶デー
  ・厚労大臣・政府、与野党の薬害再発防止に関する熱意を喚起 *参議院選

 A C肝原告団独自の機会を活用
  7月:大臣定期協議−厚労省作業部会、企業協議

恒久対策の到達点とこれからの課題・目標

薬害肝炎東京弁護団・恒久対策担当弁護士 石井麦生

1 恒久対策の到達点

@ これまで辿ってきた道(別紙)
A ポイント
A インターフェロン(IFN)医療費助成の獲得・肝炎対策基本法の成立、いずれも疾病対策としては画期的成果。
「原点は、与野党に法案を作らせたこと!」
B 薬害肝炎救済法⇒定期協議(大臣協議)をきっかけに、諸制度の前進を勝ち取る。
「大臣との直接交渉は貴重な機会!」
C これらの原動力は、原告団が患者会と共にウイルス肝炎患者等の救済を訴え続けてきたこと。
「患者等全体の声を代表することが大きなカを生む!」

2 これからの課題

【検査・治療】
「今あるスタンダードな治療を適時・適切に提供する」

@ 自らの感染に気付いていない感染者が多数存在する
A 感染に気付いても医療機関を受診しない患者も多い
B IFN治療を受けたいのに受けられない患者が存在する
C 肝炎(慢性肝炎・肝硬変・肝癌)の診療体制が不十分

【患者支援】
「今あるスタンダードな治療では治せない患者がいる。肝炎が進行すればするほど、労働能力が低下し、他方で、治療費がかさみ、生活に困窮する」

D IFN治療でも治らなかった患者、医学的にIFN治療を受けられない患者、肝硬変や肝癌に進行した患者への支援が不十分

3 目標

@【前提】患者の声を知ること

 ウイルス性肝炎患者は、今、何に困っているのか。何を必要としているのか。どのような政策が実現すれば、救済されるのか。
  「立法を求める運動から、具体的な政策を求める運動へ!」
  「具体的な政策要求の前提には、患者の声があるはず」

A【対国】肝炎対策推進協議会に患者の声を伝えること

 厚生労働大臣が肝炎対策推進協議会の意見を聴いて肝炎対策基本指針を策定することになった。協議会委員の人選は未定。
 4月以降に集中的に開催か。
 指針作りで患者が主役になれるかどうか。
  「単なる『官僚が作る指針』ではなく、『患者の望む指針』作りを!」

B【対国】定期協議を有効に活用すること

 定期協議は厚生労働大臣に約束させることができる貴重な機会。
 協議会の議論をふまえつつ、ターゲットを絞って、大臣と直接交渉を。

C【対地方自治体】地域の医療体制作りに関わること

 例えば、かかりつけ医対策や肝癌治療対策は、まずは地方自治体の仕事。
 患者の声を伝え、改善を求める。他地域での好取組事例を参考に。
 行政は、「敵」から「緊張関係のあるパートナー」へ。
 正しい知識と柔軟な発想力を。

D【対地方自治体】肝臓専門医を巻き込むこと

 医療体制作りには、肝臓専門医の意見が不可欠。
 何が足りないのか、なぜ足りないのか、何があれば改善されるのか…。肝臓専門医と一緒に考える。

4 最後に

 日本は「肝炎先進国」(飯野四郎先生曰く)。
 それを「肝炎『対策』先進国」に変えていこう!

【辿ってきた道(恒久対策)】  別紙

06年5月28日「肝炎問題に関する全・面解決要求書」第4項「恒久対策を」
     ※ 1 ウイルス性肝炎の治療体制の整備
       2 医療費・生活支援
       3 検査体制の整備
       4 差別・偏見の一掃

07年5月
 恒久対策の緊急課題として「IFN医療費助成」を掲げ、国会ローラー。

07年10月2日
 民主党、特定肝炎対策緊急措置法案、提出。

07年11月7日
 自民党・公明党による与党プロジェクトチーム、「新しい肝炎総合対策の推進について〜肝炎治療7カ年計画〜」、発表。

07年11月16日
 与党、肝炎対策基本法案、提出。

08年1月11日
 薬害肝炎救済法、成立。附則4条で「政府は、C型肝炎ウイルスの感染被害者が安心して暮らせるよう、肝炎医療の提供体制の整備、肝炎医療に係る研究の推進等必要な措置を講ずるよう努めるものとする」。

 ※ 衆議院厚生労働委員会附帯決議
 「約350万人と推計されているウイルス怪肝炎患者・感染者が最良の治療体制と安心して暮らせる環境を確保するため、医療費助成措置等の早期実現を図ること」

 ※ 参議院厚生労働委員会附帯決議(一部略)
 「肝炎ウイルス検査の質の向上と普及を促進するとともに、肝炎医療に係る専門知識・技能を有する医師等の育成及び専門的な肝炎医療を提供する医療機関の整備・拡充を図ること」
 肝炎に関する治療方法の充実・普及を図るとともに、治療薬等の研究開発の促進を図ること」
 肝炎に関する総合的な対策を推進するため、早急に『肝炎対策推進協議会』(伏称)を設立すること」

08年4月1日〜
 肝炎治療7カ年計画に基づき、IFN医療費助成開始。

08年3月17日
 第1回定期協議。定期協議のための作業部会開催を約束。

08年6月25日
 薬害肝炎全面解決のための要求書、提出。

08年8月1日
 第2回定期協議。@72週投与に対するIFN医療費助成、A肝炎患者に対する身体障害者福祉法上の身体障害者認定、2点の検討を約束。

09年7月8日
 与党(自民・公明)肝炎対策プロジェクトチーム、「新しい肝炎総合対策の一層の推進について」発表。

09年4月1日
 72週投与に対するIFN医療費助成、開始。
 自己負担限度額の階層区分につき、世帯合算の一部見直し。

09年7月28日
 第3回定期協議。IFN医療費助成に関する回数制限の見直しを約束。与党PTの「一層の推進について」を確認。

09年10月1日
 国立国際医療センター肝炎情報センター、設置。

09年11月25日時点
 東京・和歌山・福岡を除く44都連府県に61の肝疾患連携拠点病院を指定。

09年11月30日
 肝炎対策基本法成立。

10年4月1日(予定)
 身体障害者手帳に「肝機能障害」が追加。

肝炎対策基本法(肝炎患者支援法)制定をめぐる主な経過

2009.11.26

薬害肝炎全国原告団
薬害肝炎全国弁護団

2007年
7月29日 参議院議員選挙
8月2日 原告団が小沢民主党代表と面談(1)
10月2日 民主党が参議院に「肝炎治療費助成法案」を提出
11月7日 原告団が舛添厚労大臣と面談(1)
16日 与党(自公)が衆議院に「肝炎対策基本法案」を提出
12月4日 原告団が舛添厚労大臣と面談(2)
10日 原告団が大野副官房長官と面談
13日 原告団が小沢民主党代表と面談(2)
23日 福田総理・自民党総裁が議員立法による全員一律救済の議員立法を与党に指示
25日 原告団が福田総理大臣と面談(1)
28日 与党(自公)PTが「薬害肝炎被害者全員救済法案の骨子」を発表
2008年
1月11日 薬害肝炎救済特別措置法制定・施行
15日 原告団・弁護団と厚労大臣との基本合意書締結、原告団が福田総理と面談(2)
3月17日 第1回・国との定期協議(舛添厚労大臣出席)
4月1日 予算措置でインターフェロン治療に対する一部医療費助成開始
5月14日〜15日 原告団が肝炎患者支援法制定を求める国会請願行動
20日 日本肝臓病患者団体協議会とともに国会請願行動
8月1日 第2回・国との定期協議(舛添厚労大臣出席)
9月9日 第3回・国との定期協議(舛添厚労大臣出席)
12月4日 与党(自公)PTが厚生労働省に「新しい肝炎総合対策の一層の推進について」要望書を提出
14日 患者3団体が肝炎患者支援のための全国キャンペーンをスタート
18日 民主党が原告団のヒアリング
*「現状では与党が協議に応じないので、民主党に政権交代すれば、直ちに、国の責任、具体的な治療費助成を明記した肝炎患者支援法を成立させる。」
2009年
1月27日〜28日 原告団が国会請願行動、公明党・社民党・民主党・国民新党・新党日本・共産党ヒアリング
28日 共産党が全党協議の呼びかけ
30日 原告団が藤村ネクスト厚労大臣らと面談(1)
2月4日 民主党ネクスト大臣会議で「肝炎治療費助成法案」修正案をまとめる
6日 原告団が藤村ネクスト厚労大臣らと面談(2)
12日 患者3団体が志位共産党委員長らと面談
13日 原告団が園田自民党政調会長代理と面談
18日 原告団が民主党・公明党・社民党・国民新党のヒアリング、与野党協議を要請
20日 野党4党が衆議院に「特定肝炎対策緊急措置法案」を提出
3月31日 患者3団体が国会請願行動、署名提出(8万9748筆)
5月7日 原告団が国会議員全員を対象に肝炎患者支援法制定に関するアンケート実施(5月20日までに212議員から回答、ほとんどが制定に賛成)
21日 患者3団体が国会請願行動、署名提出(18万6046筆)
6月24日 民主党が患者3団体ヒアリング
30日 患者3団体が鳩山民主党代表らと面談
*「民主党政権を取った暁には国の責任を明記した法律を成立させます」
7月9日 与党(自公)PTが「国会会期がある限り肝炎立法に取り組む」など再確認
21日 衆議院解散。肝炎対策基本法案・特定肝炎対策緊急措置法案が廃案
28日 第4回・国との定期協議(舛添厚労大臣出席)
8月30日 衆議院議員選挙
9月15日 患者3団体が肝炎患者支援法制定を求める院内集会
10月20日 患者3団体が国会請願行動、与野党協議を要請
22日 原告団が谷垣自民党総裁と面談
24日 患者3団体約450人が全国18地域でキャンペーン(ビラ8千枚、署名5千筆)
29日 患者3団体が長妻厚労大臣と面談
11月6日 鳩山総理が参議院予算委員会で肝炎対策基本法案につき答弁
*「どういう形であれ法案を出して成立させたい。約束する」
10日 患者3団体が国会請願行動、署名提出(8万8655筆)
自公議員が原告団と懇談会、自公が衆議院に「肝炎対策基本法案」提出
原告団が鳩山総理大臣らと面談
*「肝炎対策基本法の成立に全力を尽くす。臨時国会での成立の努力を約束する」
11月12日 民主党が自公へ法案修正中人
16日 原告団が民主党から肝炎立法制定についての説明を受ける(自公への再修正申入)
24日 自公が決議案を与党に申入
25日 民主党・自民党内で決議案協議

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