全日本民医連の医療・福祉宣言(案)

いつでも、どこでも、だれもが安心して良い医療と福祉を

2001年7月20日 全日本民主医療機関連合会第34期第18回理事会

 戦後の飢餓と伝染病がまん延するなか、献身的な医療従事者と地域のひとびとが力をあわせ、医療にめぐまれないひとびとのための民主診療所が各地につくられました。私たち全日本民主医療機関連合会(略称:民医連)は、これらの連合体として1953年に結成されました。それから約半世紀、地域のひとびとが切実にもとめる医療にとりくみ、人権をまもるために社会保障充実の運動をすすめ、災害救援、環境改善などの社会問題にも力を入れてきました。

 現在、私たちの施設はすべての県にあり、その数は1450カ所をこえ、3200人の医師・歯科医師をふくむ5万人の職員が働いています。診療所や臨床研修病院をふくむいろいろな規模の病院、介護施設を中心に、保健予防から救急、慢性疾患医療、リハビリテーション、在宅ケアなどの総合的な活動をすすめています。私たちは、医療生活協同組合員や友の会会員など300万人におよぶひとびとの協同の力でつくられた非営利の組織であり、経営を公開し、差額病床も持たず、「いのちの平等」めざして活動しています。

 国はこの十数年来、病気や老後の問題についてその公的責任をあいまいにし、国民の経済的な負担を何度もふやしてきました。医療・福祉の分野が利潤追求の対象にされ、国民にとっては、お金のあるなしによって医療・福祉が差別されるような状況がすすんでいます。結果として、日本国憲法に示される国民の生存権の保障が大きく後退し、社会不安が増大しています。私たちは、医療とは患者さんと医療従事者の共同のいとなみであるという姿勢をつらぬき、医療・福祉の関係者と広範な地域のひとびととの共同の運動で、社会保障制度の充実をもとめます。

 人が人らしく尊重される医療と福祉を、患者さんや地域のひとびととともに実践することこそ、私たちの願いであり、社会的使命と考えます。そのために学問の成果と患者さんから真摯に学び、地域のひとびととともに生きる存在でありたいと思います。
 20世紀には、多くのいのちの犠牲のうえに、平和・民主主義・人権こそ価値あるものとする世界の歩みがありました。世界のひとびととともにこの歩みをさらにすすめ、21世紀が平和と福祉の世紀となることをめざして、宣言します。

1.人権を守り、ともにつくる医療・福祉

 安全安心の医療・福祉をめざして、情報の公開・共有と患者・住民参加をつらぬき、職員の民主的な運営を発展させます。高齢社会の到来や生活不安のなかで生まれる要求にこたえるために、医療・福祉の公共性を守る運動をすすめます。

2.地域に根ざす医療・福祉ネットワーク

 地域のひとびとのひとつひとつの問題解決をはかるうえで人、施設、行政のネットワークの強さと細やかさが大切です。私たちは、他の施設や行政との交流を大事にし、私たちが期待されるものは何かを自らに問いかけ、より開かれた医療・福祉連携をめざします。

3.非営利・協同の組織

 私たちの病院・診療所・施設は、地域の財産です。開放性、自律性、民主性を特徴とするさまざまな非営利・協同組織が世界的に発展しています。私たちもその一員として経験や教訓を学びます。住民と医療・福祉の専門家が営利を目的とせず自主的に設立、運営、管理する事業の発展方向を探求します。

4.科学とヒューマニズムの尊重

 病気や障害をもつひとびとの悩みや苦しみに共感し、ともに学び成長する人づくりをすすめます。科学性・倫理性・社会性を持った、医師をはじめとする専門職種の確保と養成に力を注ぎます。多くの学生に、私たちの活動の体験の場を提供し、あるべき医療と福祉をともに考え民医連への参加を呼びかけます。

5.安心して住み続けられるまちづくり

 子どもたちが健やかに育ち、高齢者や障害者が安心して暮らせるまちは、すべての住民にとって住みやすいまちです。これからは、行政の責任と同時に、自治への住民の積極的なかかわりがもとめられる時代です。私たちは、医療・福祉をはじめ、暮らし、文化、教育、環境などのまちづくりの活動に地域の一員として参加します。

6.憲法と平和、福祉の国づくり

 日本国憲法は、不戦を誓い、国民の生存権を保障した世界に誇れるものです。その大切な憲法がこわされようとしているいま、あらゆるひとびとと力をあわせて、平和を脅かす動きや憲法そのものの改悪に反対します。そして私たちは、憲法が暮らしの中に生かされ、いのちが何よりも大切にされる国づくりの運動に合流します。