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窓口の風景

東京都病院薬剤師会雑誌 2003.6.30
THPA. Vol.52, No.3(2003)216
処方箋(57)

北市 こずえ たくみ外苑薬局

 薬局の窓口で患者さんとお話しながら「以前はこんなに長くお話しすることはなかったなあ」と、ふと感じることがあります。かつての薬局の窓口といえば小さなガラス窓から「○○さん、お大事に」と薬を渡しておしまい、というものでした。そこまで遡らずとも、ここ数年患者さんとの会話の時間はかなり増えています。殊に「特別指導加算」が導入されてからは拍車がかかりました。コミュニケーションの能力も、これからの薬剤師に求められる資質の一つではないかと思います。
 患者さんとの対応はやはり今までの経験が役に立つことが多いのですが、新人の薬剤師でもさりげなくポイントを衝いた情報を引き出している事もあり、上手いなあと感心します。
 当薬局は一日の処方箋が350枚ほどの調剤薬局です。服薬指導は「画像読み込み」による薬歴を参照しながら行っています。前回までの会話の内容がわかるため副作用の経過や検査値の変動など継続的に把握することができます。

 「前回の血圧は○○でしたね」「よくおぼえているね。あ、そこに書いてあるの?」
 「咳のようすはどうですか?」「この薬に変えてから出なくなったよ」
 「HbA1Cはどのくらいでしたか?」「言えないくらい悪かった」と落ち込んでいるのは、病院で医師からお叱りを受けてきた糖尿病の患者さんです。逆に結果が良かった人は「今日の結果は……」と積極的におしえてくれます。
 話し始めると止まらなくなるのは一人暮らしの患者さんです。すでに話題は薬からは遙か遠く離れています。精神科の患者さんは真面目で純粋な人が多く、他の科の患者さんよりもむしろ話しやすいといつも感じます。
 癌など予後不良の病気の方との対応は気が重く、無力感を感じる事もあります。薬剤師としてできるのは薬物療法のサポートなのだからと思いつつお話をします。
 高齢の患者さんの中には何度説明しても「ところでこっちは?」と振り出しに戻ってしまう方がいます。このような患者さんが最近増えてきています。
 会社の経営がうまくいかずストレスから体調を崩している方、「いま、失業中」という患者さん、不況の影響も深刻です。
 「薬剤師の○○さんいますか?」薬局に来ると必ずお目当ての薬剤師を指名する人がいます。多くは禁忌薬があったり副作用歴のある患者さんですが、自分の信頼している薬剤師と話すことで安心して帰っていかれます。

 今後の課題もたくさんあります。待ち時間との兼ね合いもその一つです。「ていねいに説明してもらうのでわかりやすい」という人がいる反面、 「喋ってばかりいないで早く薬を出してほしい」という投書を頂戴することもあります。
 薬歴に記録する時間がなかなか確保できず忙しい日ほど後の時間にずれ込んでしまいます。記録の方法もこれからの課題です。SOAP法の研修会なども方々で開催されているようなので積極的に参加し当薬局なりのやり方を確立したいと考えています。
 しかしなんと言っても服薬指導の前提は薬剤や病態・治療法についての広くて深い知識です。「もっと詳しく知っていたら……」と患者さんと対応しながら勉強不足を痛感することがよくあります。インターネットで調べたという患者さんから、開発中の薬について質問され慌てる事もあります。ボーダーレスの時代と言われますが、多方面からの情報収集がこれからは不可欠かと思います。

 調剤薬局では窓口対応の充実は大きなテーマの一つです。これからも皆で意見を出し合い、よりよい窓口対応を目指し研鑽を積んで行きたいと思います。

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