「東葛の健康」連載コラム 2002年7月〜12月
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| No. | 月 | 表題 | 執筆者 |
|---|---|---|---|
| 47 | 12月 | レジオネラ菌症候群 | 中村 建 |
| 46 | 10月 | 鉄欠乏性貧血とくすり | 岡田 まさ子 |
| 45 | 8月 | C型肝炎感染の原因 | 間 規子 |
| 44 | 7月 | 糖尿病のくすり | 山崎 聡美 |
クスリあれこれ No.47 2002年12月
中村 建
温泉が恋しい季節になってきました。今回は温泉と関係のある感染症についてです。2002年7月、宮崎県日向市の温泉が経営する「お舟出の湯」でレジオネラ菌の集団感染があり、施設を利用した2人が死亡していることが報道されました。浴槽の湯から消毒用塩素が検出されず、レジオネラ菌が厚生労働省の定める基準値の15万倍に達していたとのことです。
レジオネラという菌は自然界の土壌や淡水中に広く存在していて、たまり水にすむアメーバを栄養源とし、空気の多い環境の中で20〜45°Cの温度で盛んに繁殖することから、ビルの空調用冷却塔、噴水、温泉水などに住み着き易い性質を持っています。
温泉の批判をするつもりはありませんが、日本の温泉の定義は非常に広く、言ってみればちょろちょろとでも湯が(水に近い温度でも)湧き出していれば「天然温泉」と名乗ることが出来ます。多くの温泉は「循環式浴槽」であり、家庭用の24時間風呂とおおまかにいえば変わりありません。このような浴槽に多数の人が入浴すれば、菌は湯の中に入りますからプールと同様に「消毒」が必要です。この消毒を怠った施設でレジオネラによる感染症が発生してしまうのです。
レジオネラ菌による感染症は、ポンティアック熱と言われる「風邪症候群」と肺炎に分けられます。潜伏期間は一週間です。レジオネラ肺炎にかかると、悪寒、高熱、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛などが起こり、呼吸器症状として痰の少ない咳、少量の粘性痰、胸痛・呼吸困難などが現れ、症状は日を追って重くなっていきます。レジオネラ肺炎は、ペニシリン系の抗生物質が効かないので、テトラサイクリン系(ミノマイシンなど)、マクロライド系(クラリスロマイシンなど)の抗生物質を使用します。万一、温泉後に体調が悪くなったらその点も伝えてください。早期治療で治すことが出来ますので、あまり心配しすぎないようにしてください。
クスリあれこれ No.46 2002年10月
岡田 まさ子
貧血は、血液の中に含まれる「ヘモグロビン」の量が減って足りなくなった状態をいい、血液中のヘモグロビンの濃度で判断されます。ヘモグロビンは体のすみずみまで酸素を運ぶという、大切な働きをします。ヘモグロビンが不足すると、さまざまな細胞組織で酸素が欠乏した状態になり頭痛、動悸、息切れ、疲れやすいなどの症状がでます。
ヘモグロビンが造られるためには、鉄とタンパク質が必要となります。体内の鉄が不足するとヘモグロビンが順調に造られなくなり貧血を生じます。
偏った食生活などが原因で、食事から摂る鉄が不足している場合。月経や病気(胃・十二指腸潰瘍、胃腸のポリープやがん、痔など)による出血で鉄が排出されて不足する場合があります。また、妊娠期も赤ちゃんの赤血球を造るためたくさんの鉄が必要で、鉄不足が起こりやすくなります。
治療の実際としては、鉄剤の経口服用が基本です。通常、三カ月は鉄剤の服用を続け、さしあたり使われる鉄の補給と同時に、体が蓄える「貯金」となる鉄を補給します。体内にしっかり鉄を蓄えることで、再発を予防するので、勝手に服用を中止しないようにしましょう。さらに大切なのは鉄欠乏の原因を調べることです。胃腸の検査や婦人科の検査が必要です。
吐き気やむかつき、腹痛、下痢、軟便などの副作用がでるケースがあります。このような場合は、医師にご相談ください。なお、鉄剤服用中は便が真っ黒になることを知っておいてください。
緑茶やコーヒー、紅茶に含まれるタンニンが鉄と結合して吸収を妨げるためです。しかし、日常的に食後やティータイム毎に一〜二杯飲む程度なら問題はありません。医師が指示した鉄剤の用量を守って服用する限り、お茶を無理に我慢する必要はありません。
クスリあれこれ No.45 2002年8月
間 規子
わが国おけるC型肝炎感染の原因が、輸血、集団予防接種、血液製剤というように、決して薬事行政と無関係ではないことが最近の報道でも再認識されています。
今回は具体的にフィブリノーゲンという薬剤によるC型肝炎感染の話題について書かせていただきたいと思います。
フィブリノーゲンは薬剤の中では「血液製剤」に分類されています。旧ミドリ十字(現三菱ウエルファーマ)より1964年に厚生省にて製造承認されました。日本ではこのフィブリノーゲン製剤を約28万人以上が使用し、その一万人余りがC型肝炎に感染したとされています。
被害の原因が薬事行政と無関係でなく、薬や医療行為からの被害を「薬害」というとすれば、この数字はこれまでの薬害の規模を大きく上回るものです。
この製剤は、先天性低フィブリノーゲン血症と出産時胎盤早期剥離や重症外科手術など、後天性フィブリノーゲン血症の治療に使用が許可されています。先天性低フィブリノーゲン血症は極稀な病気で、2000年度全国調査報告によれば全国で43名ということから、多くは後天性フィブリノーゲン血症で使用されました。
当時より、輸血や血液製剤からの感染を100%阻止することは困難であるため、その使用制限は「医師の常識の範囲であったろう」と現厚生労働大臣は指摘しています。また、世界的に信頼性のある研究でも、フィブリノーゲンと肝炎感染の危険性は20%前後と報告されていました。つまり、フィブリノーゲン製剤の使用は肝炎感染の危険性が高いため、本当に重症な出血にのみ使用されるべき薬剤と考えられていたようです。
しかし、それにもかかわらず一万人余りの人が被害を受けているというのはどのようなことなのでしょうか。
それはこの薬の添付文書(薬の説明書)の改定に秘密がありそうです。フィブリノーゲンの添付文書の肝炎感染に関する記載は改定毎にどう変わっていったのでしょうか。(次回に続く)
クスリあれこれ No.44 2002年7月
山崎 聡美
糖尿病は、血液中の糖の濃度が高い状態(高血糖)が続き、血管や神経がおかされ、さまざまな合併症が引き起こされる病気です。
糖尿病の治療には、食事療法・運動療法・薬物療法がありますが、糖尿病のタイプによって治療法が変わってきます。1型糖尿病では、血糖を下げるホルモンであるインスリンが膵臓から分泌できなくなるため、インスリン注射が必要です。一方、2型糖尿病では、インスリンの分泌があっても、量が少なく働きが鈍くなっているので、食事療法と運動療法が基本になりますが、経口血糖降下剤やインスリン注射が必要になることがあります。
経口血糖降下剤には、グリミクロンとダオニールがあります。これらは、膵臓を刺激してインスリンを分泌させ、血糖値を下げる薬です。服用時間は、食事のすぐ後(食直後)です。
さらに、ベイスンという薬もあります。これは、腸で糖分が分解し吸収されるのを遅らせて、食後の血糖の上がりすぎを防ぎます。食事のすぐ前(食直前)に服用します。経口血糖降下剤は、食事とくっつけて服用することが大切ですが、もし飲み忘れた場合、ダオニールやグリミクロンは食後1時間以内、べイスンは食後30分以内までなら服用可能です。
インスリン療法は、 1型糖尿病の人、一部の2型糖尿病の人、肝臓や腎臓に障害がある人や妊娠している人などに行われます。インスリンは、ペン型の注射器で腹部や大腿部などの皮下に注射します。注射の時間は、食事の30分前です。
薬物療法で、最も気を付ける副作用は低血糖です。ダオニールやグリミクロンを服用している人、インスリン注射を行っている人は砂糖を、ベイスンを服用している場合はブドウ糖を、携帯することが大切です。