2002年1月29日
薬害ヤコブ病被害者・弁護団全国連絡会議
ヒト由来製品の安全性確保については、中央薬事審議会バイオテクノロジー特別部会の「細胞・組織利用医薬品等の取扱い及び使用に関する基本的考え方」(平成12年12月)に基づき、平成13年4月1日施行された関係省令(製造管理、品質管理規則)の改正及び「細胞組織医薬品及び細胞組織医療用具に関する規準」の新設がなされてはいるが、なお、多くの点で不十分さを残しているといわなければならない。
以下、差しあたりヒト由来製品の安全確保につき、緊急に必要と思われる事項について意見を述べる。
責任技術者の資格、人数、義務等について、薬事法上に明文の規定を設けるとともに、その管理状況について、行政に対する報告、監査制度、違反に対する制裁等の規定を盛り込んで、その安全確保の徹底を図るべきである。
(理由)
現行規則では、「責任技術者」が、ドナー選択のチェック、記録保管さらには苦情処理までを含む多種多様な業務について責任を負っている。しかし、この「責任技術者」については、資格、人数等について何ら規定されておらず、実際に責任ある有効な安全性確保対策が期待できない。
薬害ヤコブ訴訟においては、ヒト由来製品であるヒト乾燥硬膜「ライオデュラ」を輸入販売していた被告ビー・エス・エスは、責任技術者をおいていたものの、電気関係の技術者であり、ヒト由来製品についてなんら有効な管理が行われていなかった事実が明らかになった。
このような状況を改善するためには、規則ではなく薬事法自体により規定すべきことが必要であり、また、実際に責任技術者による管理が行われているかどうかについての、チェックシステムがないので、行政への報告、監査制度及び違反に対する制裁の規定が不可欠である。
ドナーの特定、ドナー・セレクション、ルック・バック体制(ドナー記録の保存)については、規則ではなく薬事法に明文の規定をもうけ、その違反については制裁を盛り込むべきである。また、ドナーの特定、ドナー・セレクションを徹底するためにも、提供者の同意を組織採取の要件にし、採取する施設を医療機関に限定すべきである。
(理由)
薬害ヤコブ訴訟においては、原因となったヒト乾燥硬膜「ライオデュラ」は、1987年まではヤコブ病患者をドナーから排除しておらず、また、1987年以降についても、排除基準としては存在していながら、実際には、病院の解剖助手からの闇売買などで硬膜を入手しており、ドナーの特定すら行われていなかったという驚くべき事実が明らかになった。
ドナー選択を確実に行うためには、規則ではなく薬事法自体に規定するのはもちろんのこと、違反については、承認取消等の厳しい制裁を規定すべきである。また、確実にドナーを特定して選別するために、ドナーの同意を組織採取の要件にして、採取する医療機関もドナー選択のための検査などを確実に行うことが可能な医療機関に限定する必要がある。
ヒト由来製品の記録の保管期間については、遅発性の感染症を考慮して永久保存とする必要がある。
(理由)
現行規則においては、ヒト由来製品については、ドナーの記録の保管期間は、製品の有効期間プラス10年間とされている。
薬害ヤコブ病においては、硬膜の移植から10年以上経過して発症する例も多く、10年のみ保管ではドナーが特定できないことになる。
複数のドナーから採取した組織細胞を使用して製品を製造する場合には、混合処理・プーリングは禁止すべきである。
(理由)
現行規則においては、「混同および交叉汚染を防止するために必要な処置を講ずること」とのみ規定されている。
薬害ヤコブ訴訟においては、ヒト乾燥硬膜「ライオデュラ」の製造業者であるビー・ブラウン社は、数百枚の硬膜を単一の容器で処理し、このため、ヤコブ病の感染は一挙に拡大した。
このため、現行規則のような抽象的な規定をせず、薬事法自体で混合処理を明確に禁止するべきである。