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くすりの話あれこれ

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No. 表題 執筆者
38 2008年3月1日 「アドヒアランス」と薬の治療 間 規子
37 2008年4月1日 高血圧 原田 聡美
36 2008年5月1日 安定剤・睡眠剤とアルコール 楠本 由美子
35 2008年6月1日 ヘリコバクター・ピロリ(通称ピロリ菌)ってなに? その2 中村 めぐみ

「アドヒアランス」と薬の治療

 「アドヒアランス」耳慣れない言葉だと思います。訳すると「患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を実施、継続すること」となります。最近、アドヒアランスの向上が薬物治療でもよりよい成果につながることで注目されています。

 例えば、目の手術後の目薬の説明で、「手術後の目薬です。効き目は〜です。使い方は〜です」だけの説明に比べ、「手術後による炎症をとって、傷からの化膿を予防するために必要です。使用期間は△です。副作用や疑問不安があれば必ずお知らせ下さい」というような説明の方が、目薬をきちんと使って、手術後も良好の人が多い様です。「必要性と利点・不安への対策」が明確になり、「目薬は面倒だけどきちんと使おう」というアドヒアランスの向上につながっています。

 また、長い間治療を続けていると、「薬の効果は今どれくらい?・いつまでのむの?・量はこのままでよいの?・副作用は大丈夫なの?」など「先の見えない不安や不明確さ」が出てきますが、それらが計画的に説明されることで、治療への納得が深まり、アドヒアランスが向上し、よりよい薬物治療を援助します。

 薬は期待される作用と期待されない作用を併せ持っており、恩恵だけもたらす使い方が本来の薬の使われ方です。そのために、副作用の予防や治療の見直しなど、専門的な知識と継続的な観察が欠かせません。その専門的なアプローチを患者さんと一緒に考え、患者さんも納得して、積極的に治療に参加していける「アドヒアランス」の考え方は、「安全で有効な薬物治療」への成果にもつながってきています。

 「幾年もの年月は年齢や病気そして薬との積み重ね」という自然の流れに、「溺れないかしら」と何気なく疑問がよぎったら、医師や薬剤師と話をしてみてください。アドヒアランスのアプローチで「安全で有効」、「患者さんが納得して、積極的に参加できる」薬物治療を援助させていただきたいと思っています。

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高血圧

 血圧は、私たちの健康状態を示す大切な指標の一つです。高血圧になる要因としては、加齢や遺伝の他に生活習慣があり、主にストレス、喫煙、飲酒があげられます。特に、心筋梗塞、心不全、脳卒中、腎臓病、糖尿病のある方は、血圧をコントロールする必要があります。

 生活習慣を改善しても血圧が下がらない時には、薬による治療がおこなわれます。血圧を下げる薬(血圧降下剤)は、副作用に注意しながら少量から始めるのが基本ですが、1種類で効果がなければ2種類以上を併用することもあります。次に、主な血圧降下剤を紹介します。

  1. カルシウム拮抗薬は、血管を拡げて血圧を下げます。ノルバスクやニフェラートLがあります。使い始めは軽い頭痛や動悸がおこることがありますが、1週間位でおさまります。

  2. ACE阻害薬やATII受容体拮抗薬(ARB)は、血管収縮にかかわるホルモンの働きを抑えて血圧を下げます。糖尿病、心不全、腎臓病をもつ高血圧の方に適しています。ACE阻害薬にはレニベーゼやアポプリールがあり、副作用として乾いた咳が出ることがあります。ARBにはニューロタンやブロプレスがあります。

  3. α遮断薬は、交感神経に働いて血圧を下げます。カルデナリンやミニプレスがあります。副作用としてめまいや立ちくらみがおこることがあります。

  4. β遮断薬も、交感神経に働いて血圧を下げます。速い脈を整えるので、心臓病の方に適しています。アルマイラー、インデラル、ロプレソール、アーチストなどがあります。喘息のある方は、使えない薬もあるので必ず医師に伝えてください。

  5. 利尿薬は、尿を多く出すことによってむくみを減らし、心臓への負担を軽くして血圧を下げます。ラシックス、フルイトラン、アルダクトンAなどがあります。

 血圧降下剤は一度飲み始めると一生のみ続けなければならないと思われることがありますが、薬の服用や生活習慣の改善で適度な血圧になれば、薬を減量したり中止したりできる場合もあります。その場合は、自己判断ではなく、医師とよく相談して判断していただくことが大切です。家でも毎日決まった時間に血圧を測定して受診時に伝えることは、治療にとても役立ちます。

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安定剤・睡眠剤とアルコール

 「眠れない時は、お酒を飲むとすぐ眠れるから飲んで眠ります」「眠れないので、睡眠薬を飲んでいます。お酒と一緒に飲んではいけないのはなぜですか」の質問にお答えします。

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ヘリコバクター・ピロリ(通称ピロリ菌)ってなに? その2

 ヘリコバクター・ピロリを除菌する薬について特集します。

 2000年に消化性潰瘍の方において保険でピロリ除菌を行うことが可能になりました。治療法は潰瘍薬として使われるプロトンポンプ阻害薬1剤(タケプロン、オメプラール)と抗生剤2剤(パセトシン、クラリスロマイシン)の3剤を組み合わせる方法です。

 副作用で多いのは軽い下痢や味覚障害です。飲み続けていくうちにひどくならないようであれば、しっかり7日間お飲みください。飲み忘れがないことが重要で除菌率も高くなるといわれています。ただし、発熱、腹痛を伴う下痢、あるいは下痢に血液が混ざっている場合には直ちに飲むことを中止して医師に相談してください。

 当初、胃潰瘍の方は87.5%、十二指腸潰瘍の方は91.1%の高い除菌率が得られていましたが、近年クラリスロマイシンの耐性が問題になっています。耐性とは薬を飲んでいても、効果が得られないということです。そのため、ピロリ菌の除菌がうまくいかなかったケースも見られました。

 2007年8月、新たにピロリ除菌に対してフラジールという薬が保険で可能になりました。この薬は従来の除菌治療で失敗した場合のみ、再チャレンジとして使える薬です。今までは一度除菌に失敗した患者さんは自費でこの治療を受けていました。クラリスロマイシンの代わりにフラジールを加えて、3剤を組み合わせます。

 フラジールはお酒と一緒に摂取すると顔面が赤くなる、血圧が下がる、胸の圧迫感、動悸、呼吸困難、めまいなどの症状をひき起こすおそれがあります。飲んでいる間や中止後3日間は禁酒が必要な薬です。また、発疹、食欲不振、舌苔などの副作用が報告されています。医師や薬剤師から十分説明を受けて納得してから治療を開始しましょう。

 除菌治療中は胃酸分泌抑制剤(ラデン)などを中止する必要がありますので、遠慮なく医師、薬剤師にお聞きください。除菌判定は除菌後4週以降、2〜6カ月経ってから判定した方が確実といわれています。

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