くすりの話 あれこれ ~代々木病院~

No.116:熱中症と経口補水液の注意点

坂口萌枝 薬剤師 代々木病院

皆さんは「経口補水液」というものを聞いたことがありますか?「OS-1(オーエスワン)」という商品名ではご存知の方も多いかもしれません。ドラッグストア等でスポーツドリンクと並べて陳列されているこの商品、実は注意しなければいけないことがあるのです。熱中症の危険性の高いこの季節、脱水状態の改善のために飲むこともあると思います。まずは熱中症について簡単にお話しします。

熱中症を引き起こす要因は、「環境」と「からだ」と「行動」によるものが考えられます。「環境」は気温・湿度が高い等。「からだ」は激しい労働や運動によって体内に著しい熱が生じたり、暑い環境に体が十分に対応できない事等。「行動」は激しい運動や慣れない運動、長時間の野外作業、水分補給できない状況等があります。これら3つの要因により体温の上昇と調整機能のバランスが崩れると、どんどん身体に熱が溜まってしまいます。このような状態が熱中症です。そのため室内でも熱中症になる危険性があります。
熱中症の予防には、これら3つの要因を防げばよいのです。具体的には、涼しい服装や日傘・帽子を使用する、室内であれば室温や湿度を下げる(環境)(からだ)、また激しい運動等をさける、こまめに水分補給する(行動)といったことに注意しましょう

脱水症状のときや熱中症になってしまったときに、汗などで失った水分や電解質を素早く補ってくれるのが経口補水液です。スポーツドリンクと同じ飲み物だと思っていませんか? 実は違う飲み物なんです。何が異なるかというと、Na(ナトリウム)やK(カリウム)といった電解質の量が経口補水液にはスポーツドリンクより濃く入っています。OS-1、500mLのNa含有量は、食塩として考えると味噌汁1杯分や梅干し1個分に相当します。そのため高血圧、糖尿病、腎臓病等の疾患をお持ちの方等、NaやKの摂取制限を受けている方は特に、スポーツドリンクと同じつもりで脱水状態ではない時に飲むと、NaやKを取りすぎてしまうおそれがあります。脱水状態時の食事療法として医師から指示された場合にお飲みください。
熱中症の予防を心掛け、皆さんで暑い夏を乗り切りましょう!

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